ラファから退避した住民たち=パレスチナ自治区ガザ地区南部ハンユニスで2024年5月6日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスが休戦案の受け入れを発表したことで、中東諸国などからはイスラエルに対し、休戦に同意するよう求める声が高まっている。イスラエルは交渉に応じる姿勢を示しつつも、ハマスが受け入れた休戦案については「要求からかけ離れている」とし、6日夜にはガザ地区南部ラファに激しい攻撃を加えた。多数の避難民が集まるラファでも人道危機が拡大すれば、休戦を求める圧力がいっそう強まりそうだ。

 「アラー・アクバル(神は偉大なり)」。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、ガザ地区では6日夜、多くの住民が路上で口々にこう叫び、早くも「休戦」を祝う姿が見られた。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、ガザ地区では人口の75%にあたる約170万人が避難生活を強いられており、約110万人が「壊滅的なレベル」の食料危機に直面している。ガザ地区では全体の4分の3にあたる277平方キロに退避勧告が出され、住民の多くは文字通り、隣国エジプトとの境界まで追い詰められている状況だ。それだけに、休戦合意は住民に残されたわずかな希望となっている。

 だが、イスラエル首相府は6日、休戦に向けた交渉に代表団を派遣することを決めた一方、「ハマスに軍事的圧力をかける」として、ラファでの軍事作戦を続ける意向を表明。イスラエル軍は同日夜、ラファ東部で「ハマスを標的とした軍事作戦」を始めたと明らかにした。

 こうした中、中東諸国を中心に、イスラエルに対して圧力をかけるよう求める声が強まっている。アラブ諸国などでつくる地域協力機構「アラブ連盟」のアブルゲイト事務局長は6日、X(ツイッター)に「イスラエルを支持する米国と西側諸国は責任を果たすよう求める」と投稿。仲介国エジプトのシシ大統領もフェイスブックで「ガザ地区の包括的な停戦に向けた交渉の前向きな進展を注視している」と書き込み、「すべての当事者」に対して合意に向けて努力するよう呼びかけた。

 ロイター通信によると、トルコのエルドアン大統領も6日、ハマスが休戦案の受け入れを表明したことを受け「イスラエルも同じ歩みを進めるべきだ」と語り、イスラエルに圧力をかける必要性を強調。イスラエル国内でも6日夜、商都テルアビブやエルサレムなど各地でデモがあり、ネタニヤフ政権は休戦案に合意して人質解放を実現させるべきだと訴えた。【カイロ金子淳】

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