ハマスの休戦案受け入れが報じられ、喜ぶガザの人たち=パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで2024年5月6日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘を巡り、ハマスは6日、仲介国から提示されたイスラエルとの休戦案を受け入れると発表した。一方、イスラエル首相府は声明で、ハマスが受け入れた休戦案は「イスラエルの要求からかけ離れている」と指摘し、ガザ地区最南部ラファでの軍事作戦を継続すると表明。同日夜にはラファ東部で軍事作戦を開始した。

 休戦合意に向けた交渉は近く、エジプトのカイロで開かれるとみられ、イスラエルも代表団を派遣することを決めた。ただ、双方の隔たりは依然残っており、早期に合意が締結されるかは見通せない状況だ。

 ハマスの声明や中東メディアなどによると、休戦案は仲介国のカタールとエジプトが4日の協議で提示した。3段階に分けて休戦を実施する内容で、第1段階で約40日の休戦期間を設け、ハマスが一部の人質を解放する一方、イスラエルが拘束中のパレスチナ人を釈放。第2段階では、残りの人質を解放し、恒久的な停戦とイスラエル軍の完全な撤退を行う。第3段階ではガザの復興を開始し、最終的にはガザの封鎖政策の停止をイスラエルが承認する条項も含まれているという。

 ハマス幹部はAFP通信に対し、「ボールはイスラエル側のコートにある」と語り、休戦が実現するかは「イスラエル次第」との見方を示した。

 これに対し、イスラエルの戦時内閣は6日、次回の交渉に代表団を派遣することを決めた。一方、ハマスに「軍事圧力をかける」として、ラファでの軍事作戦を続けることも全会一致で決定。イスラエル軍は同日夜、住民に退避を勧告したラファ東部で「ハマスを標的にした攻撃」を始めたと明らかにした。中東メディアによると、イスラエル軍の軍事車両がラファ検問所付近に侵攻し、激しい砲撃を実施しているとの情報もある。

 中東の衛星テレビ「アルアラビーヤ」は、ハマスが受け入れを表明した休戦案について、イスラエル側の提案を仲介国が修正したもので、イスラエル側の承認を得ていなかったと報じている。イスラエル政府関係者は「提示した案と決定的に違う」と反発。戦時内閣の一人は「ハマスの発表はイスラエルを、休戦案を拒否する当事者にするためのトリックに過ぎない」と非難した。

 これまでの交渉では、恒久的な停戦を求めるハマスと「ハマス壊滅」を掲げるイスラエルとの隔たりが埋まらず、4、5日にカイロで行われた協議も難航していた。こうした中、イスラエルは6日、ラファ東部の住民に退避を勧告。国際社会ではラファ侵攻にともなう人道危機の拡大に対する懸念が強まっていた。【エルサレム松岡大地、カイロ金子淳】

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