会談を前に握手するフランスのマクロン大統領(右)と中国の習近平国家主席=パリのエリゼ宮で2024年5月6日、ロイター

 フランスのマクロン大統領は6日、訪仏中の習近平国家主席とパリで会談した。ロシアが侵攻を続けるウクライナとロシアの和平実現に向けた協力などについて協議した模様だ。会談には欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長も同席し、EUと中国間で溝が深まる貿易問題についても議論したとみられる。

 ウクライナとの戦闘が長期化する中、西側諸国による制裁を受けるロシアは中国への経済依存を強めている。また、中国企業がロシアに軍事転用可能な部品などを供給しているとの見方も強まっている。

 このためマクロン氏は習氏に、ロシアの戦闘継続能力拡大につながる貿易を規制するよう要請する方針だ。またプーチン露大統領の5月訪中が報じられる中、ウクライナの和平実現に向け、習氏からプーチン氏に働きかけるよう求めるとみられる。

 習氏は5日の仏フィガロ紙(電子版)への寄稿で、ロシアのウクライナ侵攻について「我々は平和的解決の推進に建設的な役割を果たしている」と主張し、欧州の懸念に配慮する姿勢を示した。ただ、これまで通り欧州に「中立」の立場をアピールしながら、ロシアとの対米共闘関係を維持していく方針とみられる。

 また会談では、中国EU間の貿易摩擦も主要な議題となった。EUは中国政府の補助金を受けた中国企業が欧州市場を席巻するのを警戒し、補助金が公正な競争を阻害していないか調査を開始するなど、保護主義的な姿勢を強めている。

 習氏はフランスからの農産物などの輸入拡大に前向きな姿勢を表明し、4月のショルツ独首相の訪中時と同様に、中国市場から得られる実利を強調し、EUで高まる対中強硬論を切り崩す戦略だ。【ブリュッセル宮川裕章、北京・河津啓介】

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