米CNNは16日、シリアのアサド政権崩壊をめぐる自社の報道で、刑務所で取材した「囚人」男性の説明に虚偽があった可能性があると報じた。男性は取材時に一般市民だと主張したが、実際にはアサド政権軍の元情報員だったとみられるという。
CNNは12月11日、旧反体制派の同行で首都ダマスカスの「秘密の刑務所」を取材し、窓のない独房で毛布にくるまれた男性を発見したと説明。男性の解放を手助けし、一緒に建物の外に出るまでの一部始終を報じて大きな話題を呼んだ。男性は3カ月間収監され、アサド政権の崩壊も知らなかったと答えた。取材したクラリッサ・ワード記者は著名な戦場記者として知られ、「これまで目撃した中で最も異例な瞬間の一つだ」と述べていた。
だが、直後にシリアの独立系ファクトチェック機関「Verify-Sy」がCNNの報道内容に疑義を呈した。住民などへの取材を基に、男性がシリア空軍の情報機関に所属し、過去に民間人の殺害や拷問にも関与したなどと主張した。
これを受け、CNNは匿名の市民から提供された写真と顔認識ソフトなどを用いて男性の身元を検証したところ、シリア空軍の情報機関に所属していたとみられることが判明したという。収監された経緯は不明だとした。【ニューヨーク八田浩輔】
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