シリアのアサド前大統領=チュニジアの首都チュニスで2004年5月、AP

 ロシアに亡命したシリアのアサド前大統領は16日、政権崩壊後初めて声明を出し、出国する直前まで「辞任や国外逃亡を検討したことはない」と強調した。

 通信アプリ「テレグラム」で公表された。アサド氏は8日早朝まで首都ダマスカスにとどまっていたと説明。「テロリスト」がダマスカスに侵入したため、北西部ラタキアのロシア空軍基地に向かったとした。

 政府軍が完全に撤退し、すべての国家機関がまひしたため、シリアから退避したと主張。「個人的な利益のために地位を求めたことはない」と釈明した。

 一方、ロイター通信は、アサド氏がシリアを出国する際、側近らにも伝えていなかったと報じた。

 アサド氏は7日、軍幹部らとの会議で、ロシアから援軍が向かっているとして、地上部隊に持ちこたえるように指示した。執務を終えた際、側近に自宅に帰ると伝えたが、実際は空港へ向かったという。

 メディア担当者には演説原稿を書くために自宅に来るよう求めたが、担当者が到着すると、誰もいなかった。【エルサレム松岡大地】

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