ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は14日のビデオ演説で、ウクライナ軍が越境攻撃中の露西部クルスク州で「相当な数」の北朝鮮兵が戦闘に加わり始めたと明かした。現地では、占領された地域を奪還しようと露軍側が攻勢を強めている。
ゼレンスキー氏は「露軍が(ウクライナ軍への)攻撃に北朝鮮兵を使い始めたという初期段階の情報がある」と訴えた。北朝鮮兵の戦闘参加について「他の前線へ広がる可能性を示す情報を得ている」とも語った。他方で、相手側には既に「注目すべき損失」が出ていると主張した。
ウクライナメディア「ウクラインスカ・プラウダ」によると、ウクライナ軍参謀本部は14日、クルスク州の前線で1日の戦闘としては最多となる45回の衝突があったと発表した。
北朝鮮兵は10月にクルスク州に派遣され、11月に戦闘への参加が確認された。州内に1万人超が配置されているとされる。北朝鮮兵の派遣を受け、米国はウクライナに供与した長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」のロシア領内への使用を容認。ウクライナは露領内の軍事施設を標的にした使用を開始し、緊張が高まっている。
ウクライナは8月、劣勢が続く東部戦線から露軍の兵力を引きはがすことなどを狙い、クルスク州に越境攻撃を開始した。ロイター通信によると、ウクライナ軍は一時は1300平方キロ以上を占領したが、11月下旬時点で約40%を奪い返され、守勢に回っている。【ベルリン五十嵐朋子】
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