ドナルド・トランプ次期米大統領=首都ワシントンで、西田進一郎撮影

 トランプ次期米大統領の政権移行チームが、自動運転技術を搭載した自動車事故の報告命令の撤廃を検討していると、ロイター通信が13日報じた。トランプ氏と親しいイーロン・マスク氏が率いる電気自動車(EV)大手テスラの報告件数が多く、同社幹部が廃止を求めていたという。実現すれば、テスラの負担が減る一方、安全規制が骨抜きになる恐れがある。

 自動車政策を担当する政権移行チームが作成した文書を、ロイターが確認した。現行規則を「過剰なデータ収集」と批判しているという。文書作成にマスク氏が関与したかは不明。

 米道路交通安全局(NHTSA)は2021年、自動運転技術を搭載した自動車事故を一定要件に従って報告するよう命じる規則を発令した。未完成の自動運転技術を評価するうえで不可欠な情報で、安全調査などに役立てている。

 NHTSAによると、人間が運転に関与する先進運転支援システム(レベル2)を搭載した自動車事故のテスラの報告件数は、10月中旬時点で1570件。2番目に多いホンダ(110件)の10倍以上で断トツとなっている。

 マスク氏は大統領選でトランプ氏陣営に巨額の献金をするなどして勝利に貢献。EVの販売不振を自動運転技術で巻き返そうとしており、市場では、次期政権でテスラに有利な規制緩和が実施されるとの見方が強まっている。

 ロイターの報道を受け、同日、テスラの株価は4%超上昇した。【ワシントン大久保渉】

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