旧日本軍が大勢の非戦闘員を殺害したとされる「南京事件」の追悼式典が行われました。日本人学校が登校を取りやめる中、南京で暮らす日本人はどのように向き合っているのでしょうか。

1937年、中国の南京を占領した旧日本軍が大勢の非戦闘員らを殺害したとされる「南京事件」。日本政府は殺害や略奪行為について「否定できない」とする一方、中国側はきょうの式典で「30万人が犠牲になった」とあらためて強調。見解には隔たりがあります。

記者
「サイレンと共に車やバイクが停止して、追悼の意思を示すためにクラクションを鳴らしています。通行人も立ち止まって黙とうしています」

今年は蘇州市や深セン市で日本人学校の児童や保護者が死傷する事件が起きました。南京事件に関連し、反日感情が高まる可能性があるため、中国各地の日本人学校はきょうの登校を取りやめています。

そんな中、南京で暮らす日本人はどのように向き合っているのでしょうか。

2001年から南京で暮らしている石川果林さんは現地の学校で日本語を教えています。夫の王斌さんは元同僚。生まれも育ちも南京です。

南京で暮らす 石川果林さん
「彼(夫)のおばあちゃんは日本人が侵略してくるときのことを実体験している。おばあちゃんが(結婚に)反対するならどうかなと思ってたんですけど、特に日本人だから反対ということはなかった」

意外にも、日本人という理由で嫌な思いをした経験はないと言う石川さんですが、毎年、式典の日には意識していることがあります。

南京で暮らす 石川果林さん
「基本的に静かに過ごしていますね。日本人同士の集まりもその日は外して」

一方、現地の学校に通う子どもたちはちょっと違う経験をしていました。

中国の学校では歴史の授業で南京事件など、旧日本軍の侵略行為について多くの時間を割いています。

現在、大学1年生の長男は小学生の頃、両親には言えなかった出来事もあったそうです。

石川さんの長男 王櫻明さん
「日本鬼子(日本人の蔑称)とか言われる。ちょっと傷つくけど(小学生だったから)あんまり気にしない」

87年経った今も日本と中国の間には歴史問題が横たわったままですが、日々、大切にしていることとは…

南京で暮らす 石川果林さん
「いろんな日本も知ってもらえるように、授業も座学だけじゃなく、(日本食の)料理やったり、そういうのも結構多い。もっと日本を好きになってもらう」

現地での小さな積み重ねが、やがて新たな日中関係へと結びつくかもしれません。

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