韓国の国会は14日夕、野党6党が提出した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案を採決する。可決には国会の在籍議員のうち3分の2に当たる200人以上の賛成が必要。野党と無所属議員だけでは足りず、保守系の与党「国民の力」から8人以上の賛成が必要な情勢だ。
韓国メディアによると、12日までに与党の7人が賛成票を投じると表明した。ただ、与党内では賛否を巡り激しい議論になっており、情勢は流動的だ。最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は13日、与党議員に向けて「歴史がみなさんの選択を記憶するだろう」との声明を出し、賛成票を投じるよう呼びかけた。
与党はこれまで党として「反対」の立場を取ってきた。だが韓東勲(ハン・ドンフン)代表は12日の党会合で、尹氏が即時退陣を拒否したことを受け、「大統領は国政運営から直ちに排除されねばならない」と述べ、弾劾案に賛成するよう呼びかけた。これに対し「代表をやめるべきだ」といった怒号が飛んだ。
背景には党内での「尹派」の強い影響力がある。国会議員団トップの権性東(クォン・ソンドン)・院内代表は元検事で尹氏と親しい。権氏を中心に尹派は108人の同党国会議員のうち40~50人いるとされる。これに対し韓氏に近い議員は20人程度とされるが、韓氏が国会議員でないこともあり、結束は必ずしも強くない。
弾劾訴追案が可決され、憲法裁判所がこれを妥当だと認めれば大統領選となる。大統領選は野党が優位になるとみられ、尹派は「弾劾案を可決すれば野党に政権を明け渡すことになる」などと訴えて可決に激しく反対している。
野党6党は12日、戒厳令を違憲だとして尹氏の弾劾訴追案を国会に提出した。弾劾案が可決されれば、尹氏の大統領としての職務は停止され、当面の間、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が権限を代行する。野党は仮に否決されても、再び弾劾案を提出する方針。【ソウル福岡静哉】
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