イスラエル軍は12日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部の検問所から食料を搬入したと発表した。昨年10月にガザを支配するイスラム組織ハマスとの戦闘が始まって以来、北部の検問所が開いたのは初めて。イスラエル軍の封鎖措置により、ガザ北部では食料や物資が極度に不足しており、国際社会からの批判が強まっていた。今後、人道状況が改善するか注目される。
軍によると、救援物資を積んだトラックはガザ南部のケレム・シャロム検問所で検査を受けた後、11日夜に北部の検問所からガザに入ったという。ただトラックの台数や物資の量は明らかになっておらず、市民に物資が届いたかどうかも不明だ。
イスラエルはこれまで、ガザへの物資搬入を南部の二つの検問所経由でしか認めていなかった。イスラエルとハマスの戦闘が続く中、ガザ南部から北部などに物資を配布するのは困難な状況で、餓死する子供も続出。今月1日には、ガザ中部で食料を配布していた支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」の外国人スタッフら7人がイスラエル軍の空爆で殺害された。
国際社会の懸念は強まっており、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は3月末、イスラエルに対し、ガザへの物資の搬入拡大を求める仮保全措置命令を出し、新たな検問所の開放を要求。同盟国の米国もイスラエルへの圧力を強めており、イスラエルの戦時内閣は今月4日、北部の検問所を開放する方針を決めていた。【エルサレム松岡大地】
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