国連総会(193カ国)は11日、パレスチナ自治区ガザ地区における戦闘の即時停止を求める決議案を日本など158カ国の賛成多数で採択した。イスラエルが解体を訴える国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への支持を表明する別の決議案も賛成多数で採択した。
いずれも拘束力はないが、ガザの戦闘を巡るイスラエルと擁護する米国の孤立を改めて際立たせた。会合では、安全保障理事会でガザ停戦決議案に拒否権を繰り返した米国への批判と失望が相次いで表明された。
総会の停戦決議は、すべての当事者に無条件かつ恒久的な即時停戦を求め、ガザ市民の飢餓を防ぐための迅速かつ安全な人道支援の確保を呼びかけた。米イスラエルなど9カ国が反対、ウクライナなど13カ国が棄権した。
米国は、停戦はイスラム組織ハマスによる人質の解放を伴わなければならないとする従来の立場を説明し、「決議案は交渉や人質解放の必要はないという危険なメッセージをハマスに送る」と主張した。
一方、UNRWAをめぐる決議案は、日本を含む159カ国が賛成。反対は米イスラエルなど9カ国で、11カ国が棄権した。
決議はイスラエルが来年1月に施行するUNRWAの活動を禁止する法律に遺憾を表明。パレスチナにおいて「UNRWAの能力と権限を代替する組織は存在しない」と強調した上で、イスラエルに迅速で安全な人道支援の確保に協力するよう訴えた。イスラエルの新法が施行されれば、UNRWAはガザやヨルダン川西岸で事実上活動ができなくなる。
日本の山崎和之国連大使は「採択はゴールではない」と強調し、すべての国に二つの決議を実現につなげる「共同の責任がある」と訴えた。【ニューヨーク八田浩輔】
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