カービー米大統領補佐官は10日、シリアのアサド政権が崩壊したことで、同じくイランから支援を受けてきたパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスが孤立を深めているとの認識を示した。ハマスについて「誰も支援には来ない。取引に応じるべきだ」と述べ、ハマスに対する停戦の圧力につながるとの期待を示した。
ハマスは、イスラエルと対立するイランや、レバノンの親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラの支援を受けてきた。だが、ヒズボラはイスラエルとの一連の交戦で大きな打撃を受けた。アサド政権はイランやヒズボラのほか、ウクライナとの戦闘に注力するロシアから十分な支援を受けられず、崩壊につながったと指摘される。さらにアサド政権が崩壊したことで、イランからヒズボラへの「補給路」も断たれることになった。
カービー氏は記者団に「ハマスがどう動くかはまだ分からないが、絶対に取引すべきだ。なぜなら、イランやヒズボラはもうあてにできないのだから」と述べた。
バイデン大統領は5月末に停戦案を発表するなど、イスラエルとハマスの仲介に動いてきたが、停戦は実現していない。強硬な姿勢を崩さないイスラエルと、ハマスの隔たりが埋まらないためだ。
こうした中、来年1月の就任前の停戦を求めているとされるトランプ次期大統領のチームは早くも、イスラエルのネタニヤフ首相らと協議するなど停戦に向けて動き出した。一度は仲介を中断したカタールが仲介役に復帰するなど、停戦に向けた新たな機運が出てきている。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は今週イスラエルを訪問する。シリア情勢に加え、停戦などについて協議する見通しだ。【ワシントン松井聡】
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