米国のトランプ次期大統領が不倫相手への口止め料を不正に処理したとされる事件の裁判で、ニューヨーク州検察は、有罪評決を維持したまま量刑の言い渡しを含む手続きを終わらせる選択肢を初めて提示した。裁判所が10日に公開した書面で明らかになった。トランプ氏側は大統領選の勝利を受け、評決の無効を要請していた。
この裁判でトランプ氏は5月末、大統領経験者として初めて有罪評決を受けた。大統領在任中の公的な行為は原則的に免責されるとする連邦最高裁の判断などをふまえ、裁判所は量刑言い渡しの手続きを延期している。
検察は今月9日に裁判所に提出した書面で、トランプ氏側の主張を「大統領の地位を守るために必要なことをはるかに超えている」と指摘。評決を無効にすれば「全会一致の陪審の評決と法の支配を維持する公共の利益を覆す」と反論した。
その上で、2029年1月にトランプ氏の大統領任期が終わるまで裁判を凍結する従来の選択肢に加え、有罪評決を維持したまま量刑言い渡しをせずに裁判を終える案を示した。AP通信によると、有罪評決を受けた刑事事件の被告が、上訴の過程で死亡した場合などに適用されるという。検察は、今回の事件は大統領としての公務とは無関係だと主張している。
トランプ氏の広報担当者は検察の主張について「違憲かつ政治的な動機に基づくでっちあげの遺物を守ろうとする哀れな試み」だと非難した。
裁判所の担当判事が今後の手続きを判断する。
トランプ氏が起訴された4件の刑事事件のうち、2件の連邦法違反事件については司法省の特別検察官が起訴の取り下げを要請した。【ニューヨーク八田浩輔】
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