【ソウル=時吉達也】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は29日、大統領府で革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表と会談した。両氏の会談は2022年5月の尹政権発足後初めて。李氏は日本との領土・歴史問題などの懸案に言及し「(韓国)国民のプライドが傷つかないよう政府の積極的な努力」が必要だと述べ、対日政策の転換を要求した。
今月10日の総選挙では与党が惨敗し、共に民主党を含む革新系が6割以上の議席を獲得。日米韓連携を重視する尹政権の外交政策への影響は限定的とみられているものの、国政運営への野党協力が不可欠な状況下で今後、対日強硬政策を尹政権に求める韓国国内の動きが強まりそうだ。
李氏は報道陣に公開された会談の冒頭、自由民主主義陣営の連携強化を図る尹政権の外交姿勢を念頭に、価値観中心の外交だけでは「国益も国家も守ることができない」と主張した。大統領府関係者は会談後、対日政策転換の要求に対する尹氏の反応を含め、非公開部分で「日本に関する議論はなかった」と述べた。
検事総長出身の尹氏は、過去の首長時代の複数の不正疑惑で捜査・公判中の李氏との面会について「法治主義を傷つける」(大統領府関係者)と問題視。大統領と野党トップの会談が政権発足から約2年実現しない異例の事態となっていたが、この日の会談では両氏が今後も面会を重ねる方針で合意。尹氏は野党側と協調して国政に臨む姿勢をアピールした形だ。
一方、共に民主党は会談後、「国民生活を改善する意思がないようにみえた」と尹氏を批判する談話を発表。政権との立場の隔たりを強調した。
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