中谷元・防衛相は10日、訪日中のオースティン米国防長官と防衛省で会談した。トランプ米次期大統領の就任を2025年1月に控え、日米同盟の抑止力強化は今後も重要だとの認識で一致。日米韓3カ国連携の重要性も確認した。
会談で中谷氏は「同盟の抑止力・対処力の強化を確固たるものにしていただいたことを心から感謝する」とバイデン政権下の取り組みに謝意を示した。オースティン氏は、米国が核を含む戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」に触れ、「4年間、共に達成してきたことを誇りに思う。日本と韓国に対する米国の拡大抑止のコミットメントは揺るぎない」と強調した。
両氏の対面会談は11月以来。会談では、台湾に対して軍事的圧力をかける中国や、弾道ミサイルの発射を続け、ウクライナに侵攻したロシアを支援する北朝鮮、戒厳令を機に政治的緊張が続く韓国といった日本周辺の情勢を巡り意見交換した。その上で地域の平和と安定には、日米同盟の強化と共に「地域のパートナー」(中谷氏)である韓国を含む3カ国の協力が不可欠だとの認識を共有した。
両氏はトランプ氏が2国間関係を重視する傾向が強いことを踏まえ、バイデン政権下で進めてきた多国間連携を次期政権下でも維持したい考えだ。
両氏は併せて、自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの向上策についても議論した。自衛隊は24年度末に部隊運用を一元的に担う「統合作戦司令部」を発足。在日米軍も部隊運用の権限を持つ「統合軍司令部」に再構成される予定で、日米は両司令部を通じて更なる連携を図る方針だ。
オースティン氏は中谷氏との会談に先立ち、石破茂首相とも首相官邸で面会した。首相は「安全保障環境が一層厳しさを増す中、自由で開かれたインド太平洋を実現するため、同盟の抑止力・対処力の強化に日米で共に取り組んでいきたい」と述べ、オースティン氏は「日米同盟の重要性はかつてないほど高まっており、自由で開かれたインド太平洋を実現するため、連携を強化していきたい」と応じた。【中村紬葵】
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