5年前の火災で壊滅的な被害を受けたフランス・パリのノートルダム大聖堂。再建工事がほぼ終わり、一般公開が8日、再開されました。修復にあたった職人の中に、一人の日本人がいました。
再建後はじめてとなったミサ。多くの人々が祈りを捧げました。
市民
「パリジャンにとって大切な場所だと実感した」
市民
「灰色で暗かった大聖堂がきょうはとても明るい」
2019年4月15日。大規模な火災で、尖塔全体と屋根の3分の2を焼失したノートルダム大聖堂。火災翌日、マクロン大統領はこう宣言しました。
フランス・マクロン大統領(2019年4月16日)
「ノートルダム大聖堂をより美しく再建します。そして5年以内に完成させたい。私たちならできる。そのための人々を結集させます」
1163年に着工し、180年以上かけて完成したノートルダム大聖堂。
歴史的・文化的に重要な建物であることから、マクロン大統領の言葉に、多くの人は懐疑的でした。目指したのは、“火災前の姿に戻すこと”です。再建に向け、政府は公的機関を設立しサポート。職人たちは、何世紀も前の技術に立ち返り、手作業で臨みました。
“ノートルダムの歌声”ともいわれるパイプオルガンも、その一つです。
関口格さん(53)は、2006年からノートルダム大聖堂で調律に携わり、2018年以降は、常駐のスタッフとして働いていました。
オルガンビルダー・関口格さん
「火災当日の夜から次の日の朝まで、オルガンがどんな状況かわからず、一番、不安でした」
幸い、火災による本体の損傷はなかったそうです。ただ、有毒な鉛の粉塵に覆われていたため、パイプの解体と洗浄が必要でした。その数、8000本。
微妙な音の調整には、“音がない中での作業”が必要。そのため、ほかの修復作業がない夕方以降から、夜通し作業をすることもあったそうです。
オルガンビルダー・関口格さん(3日)
「前よりも聖堂の響きがよくなっている。建物も楽器の一部なので、いい方向にいっている」
修繕された大聖堂の内部は、火災で崩落した天井は細部まで復元されたほか、すすなどが付着した壁や柱もきれいに。清掃を終えたステンドグラスは、聖堂の中を明るく照らしていました。
内部が初めて公開された11月29日。大聖堂には、火災の消火にあたった消防士や、再建に関わった職人など、約1300人が集まりました。その中心に立ったマクロン大統領は、こう語りかけました。
フランス・マクロン大統領(11月29日)
「最初は『不可能だ』『バカげている』とまで言われた。しかし、皆さんの熱意が団結を生み、達成できた。それは国民全体にとって大きな誇りです」
“団結すれば不可能も可能に”。それを証明した“フランスの心”。
オルガンビルダー・関口格さん
「900年くらい前に建てられたものが、国家のシンボルであり続けるのは、本当に信じられない。小さい子からお年寄りまで、いろんな人にオルガンの音を聞いてほしい」
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