世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス。最初の感染者が中国で発症したとされる日から5年です。コロナで娘を失い、中国政府に不信感を抱き続ける母親の訴えです。
中国・武漢市。最初に新型コロナの感染が確認され、“震源地”とも呼ばれました。流行の初期に集団感染が確認されたのが、市の海鮮市場です。
記者
「武漢の海鮮市場なんですけれども、現在も青い塀で囲まれていまして、中が見えないようになっています」
市場近くの住人
「コロナの時からずっと閉まっています」
「今後、国がどうするかは知りません。スーパーマーケットにして欲しいですね」
コロナの起源はどこにあったのか?アメリカ議会の委員会は3日、ウイルスは武漢の研究所から流出した可能性が高いとする報告書をまとめました。“発生源”について、武漢で聞くと…
中国人観光客
「よく分かりませんが、海外から来たと信じています」
武漢市民
「外国人が持ってきたに違いありません」
中国外務省は、アメリカの報告書について「中国に濡れ衣を着せようとするものだ」と主張。5年たつ今なお、論争に決着はついていません。
コロナの犠牲者の遺族は、やりきれぬ思いを抱えたままです。
新型コロナで娘を亡くした 楊敏さん
「この5年を何といえばいいのでしょうか。私の人生がすべて変わり、家族もバラバラになりました」
武漢で暮らしていた楊敏さん(54)。2020年2月、24歳の娘をコロナで亡くしました。
新型コロナで娘を亡くした 楊敏さん
「スマホをあけたときに娘の写真が出てくると思い出してしまう。そして、とても辛いのです」
楊さんは「地元政府が当初、コロナを隠ぺいしたことが娘の死につながった」として裁判を起こそうとしましたが、訴状は受理されませんでした。
それどころか、当局から監視されるようになり、耐えかねた楊さんは去年3月、中国から隣国のラオスに脱出し、今はオランダで暮らしています。
新型コロナで娘を亡くした 楊敏さん
「これ以上、中国にいることができませんでした。窒息死してしまうと感じたのです」
「コロナを通して政府が学んだことは、情報の隠ぺいと口封じだけだった」と憤る楊さん。真実を明らかにするために戦っていくと話します。
新型コロナで娘を亡くした 楊敏さん
「私は娘に何もしてあげることが出来ず、良い母親になることができなかった。政府に罪を償わせることが娘にとって最高の贈り物なのです」
なぜ娘の命は奪われたのか。納得できる答えが返ってくる日はくるのでしょうか。
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