米共和党のトランプ次期大統領=米東部ペンシルベニア州で2024年11月4日、AP

 米連邦上院の共和党次期トップとなるスーン上院議員は3日、トランプ次期政権の発足後30日以内に移民・国境管理、国防、エネルギー政策を中心にした法案の成立を目指す考えを示した。米メディアが報じた。予算審議や次期政権の人事承認も控えているため、実際に30日以内に法案をまとめるには困難も予想されるが、「スタートダッシュ」を狙う意気込みを示した。

 報道によると、スーン氏は非公開で開かれた共和党上院議員の会合で、議会運営の方針を説明した。国境管理の強化、軍事力の増強、石油や天然ガスの掘削推進など、トランプ氏が重視する政策に特化した法案を優先。1期目に実現させた大型減税の継続・拡充を目指す法案は先送りして、2025年中の成立を目指す。会合ではトランプ氏やジョンソン下院議長(共和党)も演説したという。

 上院(定数100)は25年1月からの新会期に、共和党が53議席で多数派となる。ただ、民主党の議事妨害(フィリバスター)を回避できる60議席には届いていない。

 スーン氏は、歳入や歳出の変更に関する法案を過半数で可決できる「財政調整措置」と呼ばれる特例手続きを利用し、二つの大型法案の成立を目指す考えだ。法案審議の迅速化を目指し、採決時の投票時間を制限したり、金曜日や週末の休会を減らしたりする計画も党議員らに説明した。

 赤をシンボルカラーとする共和党は25年1月から2年間、ホワイトハウスと上下両院の多数派を独占する「トリプル・レッド」となる。26年11月の中間選挙も見据えて、最初の2年間でなるべく多くの成果を出したい考えだ。

 財政調整措置は無制限ではなく、一般的には会計年度(10月~翌年9月)ごとに1回だけ使われる。共和党は優先課題に絞って財政調整措置を活用する構えだ。【ワシントン秋山信一】

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