イスラエル軍が空爆した現場を見て回る子ども=パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで2024年4月27日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘休止などを巡る間接交渉で、米ニュースサイト「アクシオス」は27日、人質解放後に恒久的な停戦を議論する用意があるとイスラエルがイスラム組織ハマスに提案したと報じた。ハマスは29日、仲介国のエジプト当局と協議する予定で、イスラエルの提案について回答する可能性がある。同盟国・米国などの圧力を受け、イスラエルが譲歩した形で、事態の打開につながるかどうか注目される。

 報道によると、イスラエルは26日に実施された協議で、ハマスが人質を解放すれば「ガザの持続的な平穏」について話し合うという提案をエジプトを通じて行った。恒久的な停戦はハマスがこれまでの交渉で要求していたが、イスラエルは一貫して応じてこなかった。

 イスラエル側は一時休戦後、まずハマスが拘束している人質三十数人と引き換えに、イスラエルが拘束しているパレスチナ人数百人を解放。その後、ガザ南部に滞在する避難民の北部帰還や、イスラエル軍の一部撤退を実施し、恒久的な停戦についても協議するという。イスラエル当局者は、「アクシオス」に対し「我々は妥結に向けて真剣に交渉に臨んでいる」と強調。「(人質を解放すれば)次の段階に進み、戦争を終わらせることが可能だとハマスは理解すべきだ」と述べた。イスラエルのカッツ外相も27日、地元メディアに対し、ハマスとの人質解放交渉が合意に達した場合、「ガザ地区南部ラファへの地上侵攻を停止するだろう」と語った。一方、ハマスはイスラエルに対し、恒久的な停戦についての「保証」を求めるとみられ、協議の先行きは見通せない。

 また、バイデン米大統領は28日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話協議した。ホワイトハウスによると、両者は戦闘休止などを巡る間接交渉への対応を協議。また、バイデン氏はラファへの侵攻について改めて懸念を伝えたとみられる。

 米メディアによると、米国のブリンケン国務長官は29~30日にサウジアラビアを訪れた後、イスラエルを訪問する予定。間接交渉での合意に向け、関係国とともに働きかけを強めるとみられる。【エルサレム松岡大地、ワシントン松井聡】

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