韓国統一省の当局者は27日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の偶像化が今年、目に見えて加速しているとの認識を示した。北朝鮮は今年、住民が党などへの忠誠を誓う「忠誠宣誓」の日を正恩氏の誕生日とされる1月8日に実施したと指摘。正恩氏の祖父の金日成(キム・イルソン)主席が生まれた1912年を元年とする「主体(チュチェ)年号」を公式メディアから削除する動きも続いているという。
忠誠宣誓は各地域や職場などで住民が忠誠を誓う文書に署名する行事。従来は元日と日成氏、金正日(キム・ジョンイル)総書記(正恩氏の父)の誕生日にそれぞれ実施されてきた。統一省は、これらに加え今年は1月8日にも行われたことを確認したという。
また統一省当局者によると、党機関紙「労働新聞」はこれまで主体年号と西暦を併記してきたが、10月13日以降、西暦表記だけとなった。朝鮮中央テレビの再放送で主体年号が映った場面を削除する事例も相次ぐ。正恩氏が祖父の威光から脱却する試みの一つとみられる。
今年に入り、正恩氏と祖父、父の3人が並んだ肖像写真の公開(5月)▽正恩氏一人をあしらった「肖像バッジ」の登場(6月)――といった偶像化の動きが進む。
統一省当局者は「偶像化は2021年ごろから強化され始め、今年、目に見える形で加速化した。これまでの政権運営に基づく一定の自信に加え(正恩氏が)40歳となったことが影響したようだ」と指摘。「今後、(正恩氏の)誕生日を祝日にする可能性がある」と明らかにした。【ソウル福岡静哉】
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