イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦交渉について、仲介する米国のカービー大統領補佐官は25日の記者会見で「合意は目前だ」との認識を示した。ロイター通信は25日、レバノン政府高官の話として、バイデン米大統領とマクロン仏大統領が36時間以内に停戦の合意を発表するとの見通しを報じた。
米国はホックスティーン特使をレバノンやイスラエルに派遣し、交渉を続けてきた。カービー氏は「話し合いは建設的で、非常に前向きな方向に進んでいる」と述べた。国務省のミラー報道官も記者会見で「(交渉に)かなりの進展があった」としつつ、最終決定はまだだと強調した。
米ニュースサイト「アクシオス」は、米当局者の話として、イスラエル政府が26日午後に開く治安閣議で停戦案を承認するとの見通しを伝えた。ヒズボラが停戦案に同意しているかは不明だが、レバノン国会の副議長は停戦の実施に「深刻な障害はない」との見方を示した。ヒズボラはこれまで、レバノンの主権を侵害する停戦案は受け入れないと主張していた。
米国の停戦案では、60日間の暫定停戦を実施し、イスラエルがレバノン南部から撤退、ヒズボラは国境から約30キロ北にあるリタニ川以北に退く。その間、米国が主導する5カ国からなる停戦監視委員会が、合意が守られているかを監視する。違反があった場合、イスラエルはレバノンへの軍事行動を再開できる。
ヒズボラは昨年10月からパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスに連帯する形で、イスラエルと交戦。イスラエルは今年9月下旬、ヒズボラの最高指導者だったナスララ師を殺害し、9月末には地上侵攻を開始した。これまでにイスラエル側では100人以上、レバノン側では3700人以上の死者が出ている。【エルサレム松岡大地、ワシントン松井聡】
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