南米ブラジルのルラ大統領は20日、首都ブラジリアで中国の習近平国家主席と会談した。両国は、ブラジルの産業育成やインフラ整備などの開発戦略と中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を連携させることで一致。農業や貿易を含む37分野で関係を強化することでも合意した。ウクライナやガザ情勢についても話し合った。
18~19日にリオデジャネイロで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席した習氏は国賓待遇でブラジリアを訪れた。
ブラジル政府によると、両国は2国間関係を「グローバル戦略パートナーシップ」から「運命共同体」に格上げした。ルラ氏は自国の開発戦略と一帯一路の連携で「シナジーを生み出す」と表明した。ただ、一帯一路には参加しなかった。
一帯一路を巡り、地元メディアは会談に先立ち、ブラジルは中国から参加に向けて圧力をかけられていると報じていた。ブラジルとしては、一帯一路に加わると対中関係があまりに強固になり、米国との関係で不利益を被ると判断したとみられる。
ブラジルは伝統的に多極化外交を志向し、欧米や中露をそれぞれ国際社会の一つの極として重視している。
一方、習氏は「中国とブラジルはグローバルサウス(新興・途上国)の共通の利益を守り、公平公正な国際秩序を促進するという大きな歴史的責任を担っている」と強調した。
ルラ氏は前回2003~10年の在任中に対中関係を重視し、中国は09年にブラジル最大の貿易相手国になった。23年1月に大統領に返り咲いて以降も関係強化に努めている。【リオデジャネイロ中村聡也】
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