国連安全保障理事会で20日、パレスチナ自治区ガザ地区における戦闘の即時停戦を要求する決議案の採決があり、米国の拒否権により否決された。日本や韓国を含む10カ国すべての非常任理事国が共同提案し、全15理事国のうち14カ国は賛成した。
決議案は、すべての当事者に即時かつ永続的な停戦を要求。無条件での人質解放や、ガザ市民を飢餓から防ぐための迅速かつ安全な人道支援の確保を呼びかけた。イスラエルが国内での活動を禁止した国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を支持する文言も盛り込んだ。
イスラエルを擁護する米国のウッド国連次席大使は投票後、イスラム組織ハマスによる人質解放が停戦条件に必要だとして、「ハマスに危険なメッセージを送ることになる」と主張した。アルジェリアは「安保理が責任を果たすまで、あとどれだけ女性や子どもたちが殺されなければならないのか」と米国を強く批判した。
イスラエルとハマスの戦闘が始まった昨年10月以降、米国が人道支援の確保や停戦を呼びかける関連決議案に拒否権を行使したのは、修正案を含めて5回目。このほか今年4月には、パレスチナの国連への正式加盟を求める決議案も米国の拒否権で否決された。
一方、常任理事国のロシアと中国も米国が提案したガザでの停戦を求める決議案を拒否権で葬ってきた。大国の対立が、国際社会の平和と安全の維持を担う安保理の一致した対応を妨げる事態が続いている。
イスラエルとハマスの停戦交渉を巡っては、米国やエジプトとともに仲介国の一角を担ってきたカタールが今月、仲介を一時的に中断すると発表。停滞している交渉が前進する見通しは立たない。【ニューヨーク八田浩輔】
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