ブラジルのリオデジャネイロで開かれている主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国ブラジルは18日、首脳宣言を公表した。ロシアのウクライナ侵攻やガザ情勢などを念頭に、特定の国の非難はせず「戦争や紛争がもたらす甚大な人的被害と悪影響を憂慮する」と表明。「国連憲章に従い、全ての国は領土取得のための武力による威嚇や武力行使を控えなければならない」と訴えた。会議は19日に閉幕する。
宣言では、イスラエルの攻撃を受けるパレスチナ自治区ガザ地区とレバノンの状況に「深い懸念」を示し、「人道支援の拡大と民間人保護の強化を急ぐ必要がある」と強調した。また和平に向け、パレスチナ国家の樹立によるイスラエルとの「2国家共存」という解決策への「揺るぎないコミットメント」を表明した。
ウクライナ侵攻に関しては、人的被害に加えて、食料・エネルギー安全保障やサプライチェーン(供給網)、インフレ(物価高)などへの悪影響を強調。「包括的で公正かつ恒久的な平和を支持する、あらゆる建設的な取り組みを歓迎する」とうたった。また、核兵器のない世界の実現に向け前進することも確認した。
今回の会議に先立ち、今月5日の米大統領選で「自国第一主義」を唱えるトランプ前大統領が勝利した。トランプ氏は1期目に、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱するなど、多国間主義に背を向けた。
宣言では「多国間主義への強いコミットメント」を再確認し、パリ協定の目的と長期的な目標を達成するために「団結し続ける決意」を改めて表明した。来年1月のトランプ氏の大統領就任を見据えて、世界の気候変動対策が後退するリスクをけん制する形となった。【リオデジャネイロ中村聡也】
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