スウェーデンの主要日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(DN)は15日、X(ツイッター)の公式アカウントへの投稿を中止すると発表した。スペイン紙バンガルディアも14日に同様の措置を表明した。既に英紙ガーディアンも撤退を決めており、欧州の一部メディアの「X離れ」が始まっている。
DNは投稿中止の理由として、米大統領選で勝利したトランプ次期大統領と親しいXオーナーの米実業家イーロン・マスク氏の存在を挙げ、「このプラットフォーム(X)はマスク氏とトランプ氏の政治的野望と一体化し、乱暴で過激になった」と説明した。
メディアではないが、世界3大映画祭の一つ「ベルリン国際映画祭」の公式アカウントも11月上旬に「12月31日でXから撤退する」と発表した。理由は明らかにしていない。
一方、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は13日、RSFに関するフェイクニュースの拡散を放置したとして、Xを偽情報拡散の容疑などでフランス司法当局に刑事告訴すると発表した。「RSFの調査の結果、ウクライナ兵にナチス信奉者がいる」との虚偽のニュース動画がXで拡散され、9月中旬までに約50万回再生されたため、削除を求めたが、Xが応じなかったとしている。
約2億人のフォロワーを持つマスク氏は、自身のアカウントを利用して「有権者をトランプ氏支持に誘導した」(AFP通信)との見方もあり、英紙ガーディアンは「米大統領選を通じ、Xが有害なプラットフォームだと判明した」と撤退の理由を説明した。
英国では7~8月に起きた「反移民」暴動の背景に、イスラム教徒を巡る偽情報のXでの拡散があるとされ、公的機関によるX利用への警戒感が広がっている。既に一部の地方警察や慈善団体、医療・教育機関も投稿中止を表明している。【ロンドン篠田航一】
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