中国の学校内で人が切り付けられ、8人が死亡し17人がけがをしました。拘束された男の供述からは、中国の今が浮かび上がってきます。
■8人死亡の切りつけ 男確保の瞬間
16日夜、中国・江蘇省の学校のグラウンドで、追いつめられた1人の男が数人に囲まれライトで照らされています。すると…
「男を捕まえたぞ、手を貸してくれ」
「捕まえたぞ、来て来て」
刃物で学生らを次々と切りつけた21歳の男が確保された瞬間です。
「だれか手当てできないのか。早く助けないと」
道路上には、倒れこんだ複数の被害者の姿。
事件が起きたのは江蘇省無錫市の職業学校です。16日の午後7時半ごろ、構内にいた学生らが刃物を持った21歳の男に次々と切りつけられました。これまでに8人が死亡、17人がけがをしています。
街灯の明かりに照らされた道路上に倒れ、動かなくなっている人の姿。これは事件の発生直後に撮影されたとみられる映像です。その先には、3人の男性。
「もし殺人犯を見たら…」
さらにその先でも、倒れて動かなくなった人が複数、映っています。
(尾崎文康記者)「事件が起きた職業学校の前です。門の前に警察官の姿が見えます。警察車両も止まっています。かなり物々しい雰囲気になっています。出入りの人をチェックしているのでしょうか。門の前にテントが張られ、警察官の姿が見えます。いま大きな車両が、警察の車両ですね。門から構内に入ろうとしています」
テロなど重大事件の時に出動する特殊警察の車両も来ていました。
事件が起きたのは芸術デザインや工学などを教える「無錫工芸職業技術学院」。
(尾崎文康記者)「事件の後の学校です。門の前には家族でしょうか、大勢の人で人だかりができていまして、中からはスーツケースを引いて、若者たち、学生でしょうか、出てくる姿も見えます。」
敷地は東京ドーム13個分に相当する約60ヘクタール。在校生が1万2000人を超えるというマンモス校です。関係者によれば、多くの被害者はこちらの構内の道に倒れていたといいます。
(上海支局 田村信大カメラマン)「こちらフェンス沿いに外から献花されたものとみられます。花が手向けられています」
現場には献花に訪れる卒業生らの姿がありました。
(献花に訪れた男性)「とても残念です。彼らには明るい未来が待っていたのに」
(卒業生の女性)「彼らはまだ卒業もしていないし、まだ10代の子もいたでしょう」
なぜ21歳の男は凶行に及んだのでしょうか?
これは今年6月に行われた卒業式の映像。警察によると、21歳の男は今年この学校を卒業する予定でしたが、試験が不合格で卒業証書をもらえなかったといいます。また男はインターンシップの給料に不満があったなどと動機について話していて、犯行を認めているということです。
■「女性に断られ」犯行前の目撃情報
一方、関係者によると…
(関係者)「男は当初、女性に声をかけて連絡先を聞いていたが、断られて何人かを切りつけ、その後は無差別で人を切りつけ始めた」
中国では今年に入り、無差別に人が襲われる事件が相次いでいます。
6日前にも、広東省珠海市で62歳の男が車で人を次々とはね、35人が死亡した事件があったばかりです。
習近平国家主席が「リスク管理を強化し、極端な事件の発生を厳しく防ぐ」などとする異例の重要指示を出していました。
その矢先に起きた今回の凶行。
(中国総局長 冨坂範明記者)「中国のSNSで、“無錫、報復、事件”と打ち込んで、検索してみたいと思います。」
「警察発表の青い画像はたくさん出てくるのですが、事件直後の動画などはほとんど出てきません。社会の不安や不満を煽らないよう、当局が情報の取り扱いに非常に慎重になっているのがわかります」
「社会への報復かな、不満があったのでは。」
「根本的には富の分配(格差)に問題があると思います。大学生が卒業しても職を探すのが難しい。当然不満ですよ。(理想との)落差が大きいんです。」
11月17日『有働Times』より
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