4年に1度の米大統領選の投票日が5日に迫った。今回も法律に基づいて「11月の第1月曜日の翌日」に実施される。しかし、なぜ「火曜日」が投票日として定着したのだろうか。
1789年にジョージ・ワシントンが初代大統領に選出されて以降、今回で60回目の大統領選になる。選挙の形式は時代によって変化してきたが、現行の投票日は1845年に連邦法で定められ、200年近く変わっていない。
米CBSニュースなどによると、農作業が忙しい季節を避け、収穫期の後で、寒さが厳しくなる前の時期として11月が選ばれたという。
キリスト教徒が日曜日の礼拝を済ませた後、投票所がある街まで馬車などで移動する時間を考慮。さらに市場が開かれることが多かった水曜日までに地元に戻れるように、火曜日を選んだ。
一方、投票日の火曜日が「11月1日」になると、商人が前月の決算を済ませる日と重なってしまう。そのため、「第1火曜日」ではなく、「第1月曜日の翌日」とすることにした。
連邦法で定められる以前は、「12月の第1水曜日までの34日間」に該当すれば、各州が自由に投票日を設定できた。しかし、いち早く実施した州の結果が公表され、後から行う州の有権者の投票行動に影響を与えることが懸念された。そのため、連邦法で統一ルールが決められた。
ただ、選挙管理の実務は各州に任されており、今でも期日前投票の期間やルール、開票の手続きなどは州によって異なる。
現代の米国では農業従事者の割合は減り、宗教も多様化した。火曜日にこだわる必要は薄れている。仕事の都合などで投票に行けない人がいることも問題視されている。州ごとに行われる予備選では、別の曜日を投票日とする州もある。
利便性向上のため政界には、投票日を週末に設定すべきだという意見もあるが、本格的な法改正の議論には至っていない。今回も7000万人以上が期日前投票や郵便投票を利用しており、制度を変更する必要はないとの声もある。
日本では国政選挙の投票日は基本的に日曜日だが、過去には平日に投票が実施されたこともあった。韓国の大統領選は水曜日、英国の総選挙は木曜日が慣例になっており、数日間の投票日を設ける国もある。【ワシントン秋山信一】
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