台湾の傅崐萁立法委員=同氏のフェイスブックより

 台湾の最大野党・国民党の立法委員(国会議員)が進める中国訪問計画について、与党・民進党が批判を強めている。訪中団を率いる重鎮議員の地元である東部・花蓮(かれん)県は今月3日に最大震度6強を観測した地震で大きな被害を受けており、民進党は復興に力を注ぐべきだと主張。一方、重鎮議員は中国との交流で現在途絶えている中国人観光客を被災地に呼び込めると強調し、26日にも出発するとみられる。

 台湾では5月20日の頼清徳政権発足を控え、中国と距離を置く民進党と対中融和的な姿勢の国民党との間で応酬が強まっている。

台湾東部沖地震の被災地を視察する国民党の傅崐萁立法委員(中央)=同氏のフェイスブックより

 計画では北京を訪問し、中国の電気自動車企業を視察するほか、台湾の農水産品の輸入に関わる組織と協議する。台湾メディアによると、約10人が参加する。中心にいる国民党立法委員団長の傅崐萁(ふこんき)氏は、党の強固な地盤である花蓮県で立法委員や県知事を長く務めた親中派政治家で「花蓮王」の異名を持つ。

 傅氏は17日に訪中計画を発表。だが、3日の地震で19人が死亡・行方不明となり、23日にも最大震度5強を観測するなど揺れが続いていて、民進党からは「彼の心は有権者ではなく中国を向いている」(黄捷・立法委員)と批判が相次ぐ。

 傅氏は25日、「(蔡英文政権の)8年間で途絶えた両岸(中台)の交流を再開し、台湾の産業を振興させる」とし、訪中が観光客が激減した被災地の復興につながると強調。日程を短縮した上で訪中に臨む意向だ。国民党の一部には延期を求める声もあるが、同党幹部は「多くの成果を持ち帰ってほしい」と訪中団への期待を示している。【台北・林哲平】

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