米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは24日、ロシア政府が2023年に宇宙企業「スペースX」を率いるイーロン・マスク氏に対して、衛星通信サービス「スターリンク」を台湾に提供しないよう要請していたと報じた。ロシアが協調を深める中国政府への「好意」として、パイプのあるマスク氏に働きかけたという。
報道によると、マスク氏は22年後半以降、プーチン露大統領や側近のキリエンコ大統領府副長官らと意見交換を重ねている。一連のやりとりの中で、露政府は23年後半、台湾へのスターリンクのサービス提供を断念するよう要請したという。
ただ、台湾も、マスク氏が電気自動車大手「テスラ」の販売などで中国との関係を重視していることを懸念。有事に接続が保証されないリスクもあり、スターリンクのサービス提供は許可していない。英紙ガーディアンによると、台湾企業が欧州拠点の別の企業と連携し、独自の衛星通信網を構築する予定だという。
スターリンクを巡っては、ロシアが22年2月にウクライナに侵攻した当初、マスク氏がウクライナ側に無償でサービスを提供し、侵攻への対処に貢献した。しかし、ウクライナが露占領下の南部クリミア半島を攻撃するためにスターリンクの利用を要望した際にはマスク氏は断り、22年10月には「ロシア寄り」の和平案を独自に提案したこともある。【ワシントン秋山信一】
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