朝鮮人民軍特殊作戦部隊の基地で行われた訓練=2024年10月2日、朝鮮中央通信・朝鮮通信

 ロシアを支援するために北朝鮮が派兵したとされる問題で、米国のオースティン国防長官は23日、滞在中のローマ市内で「北朝鮮の部隊がロシアにいる証拠がある」と記者団に語った。米紙ワシントン・ポストが報じた。米政府高官が公式に北朝鮮のロシア派兵を確認するのは初めて。

 派兵の目的についてオースティン氏は「北朝鮮の部隊がそこで何をしようとしているかについては、引き続き見ていく必要がある」と述べ、まだ明確ではないと強調。そのうえで、「北朝鮮が参戦するつもりだとすれば、欧州だけでなくインド太平洋地域にも影響を与える非常に深刻な問題だ」と指摘した。

 一方、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は23日、国会の委員会で北朝鮮軍はすでに約3000人を派兵しており、12月ごろ更に約1万人追加で送る可能性があるとの分析を報告した。出席した議員らが明らかにした。

朝鮮人民軍特殊作戦部隊の訓練基地を視察する金正恩朝鮮労働党総書記=2024年10月2日、朝鮮中央通信・朝鮮通信

 国情院は13日までに北朝鮮の特殊部隊約1500人がロシア極東ウラジオストクに移動したと発表していたが、その後、更に追加で派兵されたという。ロシア軍内で韓国語通訳要員を選抜する動向も確認したとし、北朝鮮兵士に対し無人機など最新装備の訓練を行っていると明かした。

 また、北朝鮮国内でも派兵についての情報が流れ始めており、当局は社会の動揺を防ぐため、派遣された兵士の家族に口外を制限したり、隔離状態にしたりしているという。

 北朝鮮が派兵した理由については、ロシアとの同盟関係を確立し、北朝鮮が有事の際にロシアの協力を得るためとの見方を示した。また、見返りに経済的援助を受ける約束があるとみられ、「国内の経済難の突破口を作りたい考えや、(ロシアからの技術支援を受けて)軍の現代化を加速させたいとの狙い」があると分析した。

 韓国大統領府は22日、露朝の軍事協力の進展に応じて、外交、経済、軍事の分野で段階的な対応措置を実行していくとの方針を示していた。ロシア側は派兵を否定している。【ソウル日下部元美】

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