世界保健機関(WHO)は23日、パレスチナ自治区ガザ地区北部で戦闘が激化し、子どもを対象にしたポリオの予防接種の延期を余儀なくされていると明らかにした。対象となる子どもは北部に12万人近く残っており、イスラエル軍とイスラム組織ハマスに改めて即時停戦を訴えた。
WHOによると、ガザ全域で9月1~12日に段階的に1回目の接種が行われた。10月半ばに2回目が始まり、中部と南部では44万人以上が接種を終えた。北部では23日に開始予定だったが、激しい砲撃が続き、市民や人道支援のスタッフの安全な移動が確保できないとして延期を決めた。WHOは2回目の接種が遅れるとワクチンの効果が低下し、「感染を食い止める取り組みを著しく危険にさらす」と懸念する。
ロイター通信によると、1回目の予防接種を受けた後にイスラエル軍による攻撃で死亡した子どももいる。9月にガザ中部の攻撃で孫を亡くした女性は「私たちには飲み物も支援も必要ない。ほしいものは安全と安心、戦争の終結だ」とロイターに語った。
接種の延期について国連のグテレス事務総長は23日、X(ツイッター)で懸念を示し、「ウイルスが広がる前に流行を阻止しなければならない」と警告した。
ガザでは8月中旬、25年ぶりにポリオの感染例が確認された。国連は流行を食い止めるため、接種率を90%以上に高めることを目指している。【ニューヨーク八田浩輔】
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