アメリカ大統領選挙のシリーズ「激戦州の現場から」です。最大の争点でもある移民政策をめぐって、国境沿いの激戦州では、民主党から共和党支持に乗り換える動きが広がっています。
記者
「メキシコとの国境に面する南部アリゾナ州。注目されているのが、ヒスパニック=中南米がルーツの有権者です」
国境沿いで唯一の激戦州となっている、南部アリゾナ州。共和党の牙城として知られていましたが、前回はわずか1万票差で民主党が制しました。勝因は有権者の4分の1を占めるヒスパニック系からの支持だったと言われていますが、今回、その構図が崩れています。
共和党のトランプ前大統領を支持する、ホセ・カストロさん(26)。いわゆる「トランプの壁」がそびえ立つ、国境沿いの町に暮らしています。
ホセ・カストロさん
「以前はこの壁を人種差別の象徴だと感じていましたが、今では安心・安全の象徴だと感じています」
ヒスパニック系の人々は従来、民主党寄りと言われていて、カストロさんも前回は民主党員として選挙を支えました。
しかし去年、不法移民と見られる女性が突然、錯乱状態で自宅を訪れたことをきっかけに、民主党政権による国境管理に不安を覚えたといいます。
民主党から共和党支持に乗り換えた ホセ・カストロさん
「敷地に突然知らない人が入ってくるのは恐ろしい、怖かったよ」
共和党 トランプ前大統領
「私は、わが国史上最大の強制送還を行います」
バイデン政権下での不法越境者は、3年連続で過去最多を更新していて、この問題を担当したハリス副大統領の“アキレス腱”となっています。
治安の悪化を感じたカストロさんはその後、初めて銃を購入しました。
民主党から共和党支持に乗り換えた ホセ・カストロさん
「ハリス氏は国境政策に弱い。彼女では家族の安全を守れません」
ヒスパニック系の間では移民問題に加え、インフレなど、現政権への不満が重なり、共和党支持に乗り換える人が増えているといいます。
トランプ支持のヒスパニック系男性
「ヒスパニック系だけの問題なんてない。ガソリン代も食品の価格も、ひどい金利もみんなの問題なんだ」
共和党もこれを好機と捉え、支持の拡大に力を入れます。
共和党の地区幹部
「ヒスパニックからの支持はとても重要とみていて、アプローチに力を入れています。彼らは結果を左右する可能性があるんです」
最新の世論調査ではトランプ氏がアリゾナ州でわずかにリードしていますが、残り1か月でハリス氏は追い上げることができるでしょうか。
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