台湾の総統府=台北市中正区で2020年2月2日、福岡静哉撮影

 台湾の入管当局は3日、台北市内で香港人らが開いた中国への抗議集会を妨害したとして、中国人の夫婦を強制退去処分にしたと発表した。申請時の渡航目的と実際の行動の不一致が理由としている。

 集会は中国の建国記念日にあたる1日に台北の繁華街で開かれ、香港での政治的抑圧から逃れて台湾へ移住した香港人ら数十人が参加した。

 参加者によると、この夫婦は、会場に掲げられた「光復香港(香港を取り戻せ)」と書かれた旗を地面に投げつけたり、「台湾も香港も中国の一部だ」「中国がもたらす利益を一切受け取るな」と叫んだりした。制止しようとした人たちともみ合いになり、警察が駆けつける騒ぎになった。

 調べによると、夫婦は「親族に会う」との渡航目的で9月末に台湾に入ったが、その親族は7月から中国にいることが判明した。

 台湾政府で対中政策を主管する大陸委員会は、中台の人的往来に関する条例で定める「対等・尊厳の原則に反する不当行為」があったと説明。「訪台する中国人は台湾の自主的地位を害する言論を発表してはならない」と強調した。

 集会に参加した香港人の赴湯(ふとう)さんは毎日新聞の取材に「台湾まで来て、異なる意見を抑えつけようとする(夫婦の)行為は受け入れられない。訪問先のルールには従うべきだ」と批判した。【台北・林哲平】

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