ニューヨークの国連本部=2023年7月3日、八田浩輔撮影

 国連安全保障理事会は24日、宇宙に核兵器などの大量破壊兵器を配備しないよう求める決議案を否決した。15理事国のうち13カ国が賛成したが、常任理事国のロシアが拒否権を行使した。中国は棄権した。

 人工衛星を標的に核エネルギーを利用した兵器の開発を模索するロシアを念頭に、米国と日本が主導して65カ国が共同提案した。決議案は宇宙空間での軍拡競争を防ぐため、核兵器やその他の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球の周回軌道に載せることを禁止するなど、宇宙条約を順守する義務を確認する内容。宇宙条約にはロシアを含む110カ国・地域以上が参加している。

 日本と米国の国連大使は今月19日に共同声明を発表し、宇宙で核兵器が爆発すれば、世界中の国や企業が運用する人工衛星に支えられた地球の社会経済活動が危険にさらされるとして全会一致での賛成を呼びかけていた。

 2023年の防衛白書では、中国とロシアが他国の宇宙利用を妨げる対衛星兵器の開発に着手しているとしたうえで、宇宙空間を「戦闘領域」や「作戦領域」と位置づける各国の動きが広がっていると指摘した。【ニューヨーク八田浩輔】

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