ロシア軍の激しい爆撃を受けた住宅=ウクライナ東部ドネツク州ウグレダルで2023年2月25日、AP

 ロシア国防省は3日、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地、ウグレダルを制圧したと発表した。ウクライナ軍は兵員や装備を温存し、態勢を整えるためとして2日に撤退を公表していた。ウグレダルはウクライナ軍が2年以上にわたって守り続けてきた防衛拠点で、陥落は象徴的な意味合いも大きい。

 ウクライナのゼンレンスキー大統領は3日、首都キーウ(キエフ)を訪問した北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長との共同記者会見で撤退について、「建物よりも兵士の命の方が重要だ。撤退は正しい判断だ」と主張。「適切な武器がなければロシアを止めることはできない」と支援を呼びかけた。

 露政府機関紙「ロシア新聞」は3日、ウグレダル制圧により、ロシア軍が戦力を集中させているウグレダルから北に約50キロの要衝ポクロフスクの方面などで進軍が進む可能性があるとする専門家の話を報じた。

 一方、米シンクタンク「戦争研究所」はウグレダル周辺の主要道路は以前からロシア軍が制圧しており、陥落によってロシア軍が特別な優位を得られる可能性は低いと指摘している。【モスクワ山衛守剛】

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