ウクライナ東部のドネツク地方で、軍事訓練に参加するウクライナ軍兵士=2024年6月13日、ロイター

 ウクライナ軍は2日、東部ドネツク州の激戦地ウグレダルから部隊を撤退させることを決めた。ウクライナメディアが報じた。ロシアメディア「SHOT」や露国防省に近い軍事ブロガーは、ロシア軍が既に制圧したとしている。報道が事実なら、ウクライナ側は主力部隊が守り続けてきた防衛拠点を失うことになり、ロシア軍の進軍が加速する可能性がある。

 ウクライナメディアなどによると、ウクライナ軍の現地司令部は「上層部は人員と軍事装備を節約し、さらなる作戦のための態勢を整えるため、部隊を撤退させることを承認した」とする声明を発表した。

 ウグレダルはロシア占領下の州都ドネツクの南西に位置し、露軍が支配するウクライナ東部と南部を結ぶ地点にある。民間研究機関「欧州政策分析センター」の研究者はウクライナメディアに、ウグレダルが制圧された場合「まだ占領されていないドネツク州南西部全体の安全を脅かす可能性がある」と指摘した。

 ドネツク州知事は1日、「敵はすでに町のほぼ中心部に到達している」と述べていた。またインターネット上では、行政庁舎の屋上にロシア国旗を掲げる兵士の動画が拡散された。

 ただ、露国防省はウグレダル制圧についてまだ発表していない。ロシア側実効支配地域「ドネツク人民共和国」の当局者は2日、ロシア通信の取材に「ウグレダル占領について話すのは時期尚早であり、掃討作戦が進行中だ」と述べた。【モスクワ山衛守剛】

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