米副大統領候補討論会に臨む共和党のバンス氏(左)と民主党のウォルズ氏=東部ニューヨークで1日、ロイター

 11月5日の米大統領選に向けた民主、共和両党の副大統領候補によるテレビ討論会が1日、東部ニューヨークで行われた。民主党のティム・ウォルズ・ミネソタ州知事(60)と共和党のJ・D・バンス連邦上院議員(40)が約1時間45分にわたり、主要な争点を巡って議論を交わした。

 討論会はCBSニュースの主催で、経済、移民、人工妊娠中絶、中東情勢などが議題になった。冒頭と終了後には握手を交わし、白熱した議論の中でも互いに敬意を示し、相手の意見を認める場面もあった。

 両候補は論戦で、相手の大統領候補に批判の的を絞った。ウォルズ氏は、返り咲きを目指す共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)は「80歳近い」と高齢を問題視。9月の討論会で「選挙集会での聴衆の数のことを語っていたが、そんなことは今必要な内容ではない」と批判した。

 さらに「気候変動はでっちあげだと言い、石油関連企業の経営者を自宅に招いて『選挙資金をくれ』と言っている」「国境管理強化の法案で(共和党議員に)反対票を投じさせた。選挙で争点化するためだ」と指摘した。

 一方、バンス氏は「(民主党の)ハリス氏は大統領就任初日にさまざまな問題に取り組むと言っているが、彼女は3年半以上も副大統領を務めてきて、その間に問題は深刻化した」と指摘した。

 「ハリス氏がトランプ氏の国境政策を無効化した結果、記録的な不法越境が起きて、(合成麻薬の)フェンタニルが大量に流入した」「副大統領として食料品の価格や住宅価格を高騰させた」などと批判した。

 両候補とも守勢に回る場面もあった。トランプ氏が2020年大統領選の敗北を認めていない問題を巡って、ウォルズ氏が「トランプ氏は負けたか」と問うたが、バンス氏は「私は未来に集中している」と答えを避けた。一方、ウォルズ氏は1989年の天安門事件の際に「香港にいた」とする過去の発言の真偽を進行役から問われた時に明確に答えず、再度確認されてから「間違いだった」と認めた。

米副大統領候補討論会を前に、会場に集まった報道陣ら=ニューヨークで1日、ロイター

 討論会直後のCNNの世論調査では、「優勢だった」のはバンス氏51%、ウォルズ氏49%とほぼ互角だった。ハリス陣営は声明で「ウォルズ氏は、国民と解決策を共有することに焦点を当て、率直に話した」と評価。トランプ氏はソーシャルメディアで「J・Dがウォルズ氏を粉砕した」と評した。

 今回の大統領選ではこれまでに2回、大統領候補の討論会が開かれた。6月の討論会で高齢不安を露呈した民主党のバイデン大統領は選挙戦から撤退。後継となったハリス副大統領が9月にトランプ前大統領と討論した。ハリス陣営は1日、トランプ氏に10月下旬に討論会に応じるよう改めて要求。しかし、トランプ氏は「議論は尽くした」としており、副大統領候補の討論会が両陣営の最後の「直接対決」となる可能性がある。【ワシントン秋山信一】

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