インドのジャイシャンカル外相は1日、石破茂首相が提唱する「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の構想について「我々はそのような戦略的な構造は考えていない」と否定的な見解を示した。ワシントンで開かれたカーネギー国際平和財団のイベントで語った。
ジャイシャンカル氏は、石破氏の構想について「日本は米国と条約上の同盟関係にある。そうした歴史や戦略的文化がある場合、考え方がそうした方向性になるのだろう」と指摘。その上で「インドはどの国とも条約上の同盟国になったことはない。我々には(日本とは)異なる歴史があり、世界に対して異なるアプローチの方法がある」と述べた。
石破氏は、自民党総裁選出前の9月下旬、米シンクタンク「ハドソン研究所」への寄稿で、アジア版NATOの連携相手として米国やオーストラリアなどと並んで、インドも挙げていた。しかし、インドは伝統的に非同盟外交を推進しており、日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」も軍事協力とは一線を画している。
日印は防衛分野での協力も強化はしているが、オーストラリアや英国などとの連携に比べると密度は薄く、石破氏の寄稿文の中の「日本とインドは準同盟関係」とする記述も不正確だとの指摘が出ていた。【ワシントン秋山信一】
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