イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘を巡り、米ABCテレビは28日、米政府高官の話として、イスラエルが限定的な地上侵攻の準備をしていると報じた。イスラエル軍はヒズボラの指導者ナスララ師の殺害後もレバノンへの攻撃を緩めておらず、情勢は緊迫している。
ネタニヤフ首相は、ナスララ師の殺害について「中東のパワーバランスを変える歴史的転換点だ」と成果を誇示。自国北部の避難民を帰還させるための必要なステップだったと強調した。一方で「まだやるべきことは残っている」と語り、攻撃を継続する考えを示した。
イスラエル軍は28日も、ベイルート郊外などを空爆し、ヒズボラ幹部を殺害したと発表。イスラエル側の防衛を強化するため、予備役の3大隊を追加招集した。レバノン保健省は、昨年10月のイスラエルとヒズボラの戦闘開始以来、レバノン側の死者は1640人になったと発表した。
ヒズボラは28日、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地などに向けてロケット弾を発射。イエメンの親イラン組織フーシ派も、イスラエル中部の国際空港を標的に弾道ミサイルを発射したが、いずれも大きな被害は出ていない。
一方、イランメディアは28日、ナスララ師が殺害されたイスラエル軍の空爆により、ヒズボラを支援しているイラン革命防衛隊の幹部も死亡したと報じた。自国民も巻き込まれたことで、イランが反発を強めるのは必至だ。
報道によると、死亡したのは、革命防衛隊の作戦を担当する副官で、27日の空爆があった際、ナスララ師とともにヒズボラの拠点にいたとみられる。レバノン保健省によると、この空爆による死者は少なくとも11人、負傷者は108人に上っている。
ナスララ師の殺害を受け、イランの最高指導者ハメネイ師は「イスラエルは作戦を後悔するだろう」と指摘。米NBCテレビによると、イラン高官は、政府が数日中に軍をレバノンに派遣することを承認するだろうと述べた。【エルサレム松岡大地、カイロ金子淳】
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