イスラエルによるとみられる空爆を受けたイラン大使館の建物=シリア・ダマスカスで2024年4月2日、ロイター

 イスラエルによるとみられる1日の攻撃でイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」の幹部ら13人が死亡したことを受け、米政府がイランからの「報復」への警戒を強めている。ブリンケン国務長官は10日以降、トルコや中国の外相らと相次いで電話で対応を協議した。報復ではイスラエルや米国の施設などが標的になるとの指摘もあり、情勢は緊迫している。

 米国務省のミラー報道官は11日の記者会見で、ブリンケン氏がトルコ、中国、サウジアラビアの外相と電話協議したことを明らかにした。ミラー氏は「(イランの報復で)情勢がエスカレートすることは、どの国にとっても利益にならない。各国はイランに対し、エスカレートさせないよう働きかけるべきだ」と述べた。

 トルコはシリア内戦などでイランと対立を抱えつつ一定の良好な関係を保っており、中国もイランと友好関係にある。中東の大国のサウジアラビアは2023年に中国の仲介でイランとの国交の正常化で合意した。ブリンケン氏は電話協議で、3カ国の外相にイランに対して影響力を行使するよう呼びかけた模様だ。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、中東を管轄する米中央軍のクリラ司令官が11日、イスラエルに向かった。イスラエル側と想定されるイランからの攻撃などについて話し合う見通しだ。

 1日のイスラエルによるとみられる攻撃では、シリアの首都ダマスカスのイラン大使館内の建物が被害を受け、13人が死亡した。10日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、米情報機関がイスラエルに対する報復が差し迫っているとする報告書をまとめている。【ワシントン松井聡】

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