児童虐待事件に関連し、マレーシアの政府当局によって封鎖された施設=マレーシアで2024年9月14日、ロイター   

 マレーシアの警察当局が9月、児童養護施設などから虐待を受けたとされる未成年者の男女計572人を保護した。性的虐待の被害者も含まれるという。施設は、イスラム急進派組織との関連が指摘される企業が運営していたとみられ、警察が実態解明を進めている。地元メディアが報じた。

 警察の発表によると、保護された未成年者のうち、少なくとも13人が同性との性行為を強要され、170人以上が長期にわたる精神的、身体的な虐待を受けていた。熱したスプーンを押しつけられたり、むちで打たれたりしていたという。

 警察はこれまでに、性的暴行や人身売買に関与した疑いなどで、施設の運営企業の幹部やイスラム教指導者らを逮捕した。企業側は組織的な関与を否定している。

虐待が行われていたとされる児童養護施設などを運営する企業の本社ビル=マレーシアで2024年9月19日、AP   

 問題の企業のウェブサイトによると、主な事業はスーパーや飲食店などの経営とされ、インドネシアやトルコなど20カ国で事業を展開する。この企業は一方で、1994年にマレーシアでの活動を禁止されたイスラム急進派組織「アル・アルカム」との関係が指摘され、かなり前から警察の監視対象となっていた。関係者からの情報提供などを受けて、9月に入って大規模な捜査が行われた。

 今回保護された未成年者は同社の従業員や組織賛同者の子供とみられる。夫と4人の妻の間に生まれた34人の子供のうち、32人を施設に預けていたケースもあったという。【バンコク武内彩】

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