9月15日に起きた米共和党大統領候補のトランプ前大統領を狙った2度目の暗殺未遂事件を巡り、直後に身柄を拘束されたライアン・ラウス容疑者(58)が数カ月前に殺意を記した手紙を他の人に託していたことが判明した。検察当局が23日、裁判所に提出した資料で明らかにした。
米CNNによると、検察はラウス容疑者を正式に暗殺未遂容疑で訴追する方針。
提出資料によると、ラウス容疑者は数カ月前に箱を預け、事件後にその人物が箱を開けると、手紙や弾薬などが見つかった。
手紙は手書きで宛名は「世界へ」とあり、「これはドナルド・トランプを暗殺する試みだったが、期待を裏切ってしまった」と記述。「仕事をやり遂げるかはあなた次第だ。完了した場合は15万ドル(約2155万円)を提供する」などと記していた。
さらに犯行時に使った車からも8~10月にトランプ氏が訪問した、または訪れそうな場所が記された手書きのリストが見つかった。検察はまた、捜査の一環としてラウス容疑者が2023年2月に書いたとみられる書籍も証拠として検討。その中に、イランにトランプ氏の暗殺を促すような記述があったことも明らかにした。
トランプ氏は在任中、イランに強硬な姿勢を取った。20年1月には米軍がイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率いたソレイマニ司令官を殺害した。CNNによると、ラウス容疑者が残した手紙には、トランプ氏が「子どものようにイランとの関係を終わらせたことで中東(情勢)が崩れた」との記述があったという。
事件はトランプ氏が所有する南部フロリダ州のゴルフ場で起きた。ラウス容疑者は拘束され、翌16日に銃の不法所持の疑いで訴追された。検察は「前米大統領を殺すという唯一の理由」でフロリダ州を訪れたことは明白だと主張している。
トランプ氏は7月13日にも東部ペンシルベニア州バトラーで演説中に狙撃され、耳を負傷している。【ニューヨーク中村聡也】
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