北京日本人学校、中国日本商会の関係者らと意見交換する柘植芳文副外相(奥の列の左から2人目)=北京市の日本大使館で2024年9月23日午後5時33分、岡崎英遠撮影

 中国広東省深圳市で日本人学校に通う男子児童が刺殺された事件を受け、柘植芳文副外相は23日、中国の孫衛東外務次官と北京市内で会談し、在留邦人の安全確保のために具体的措置を取るよう要請した。再発防止に向けて、「根拠のない悪質で反日的なSNS(ネット交流サービス)投稿」の取り締まりを徹底することも求めた。

 中国側は今回の事件について、日本人を狙った犯行なのかなど、動機や背景は明らかにしていない。

 外務省によると、柘植氏は「動機を含む一刻も早い真相の解明と明確な説明」を要求。孫氏は、全ての国で児童は優先的に守られる対象だとし「いかなる暴力にも断固反対し取り締まる」と応えたという。

 会談後、柘植氏は北京の日本大使館で、北京日本人学校、中国日本商会の関係者らとも意見交換した。

 6月に江蘇省蘇州市で日本人母子が襲われた事件を受け、外務省は2025年度予算案の概算要求で、中国国内の日本人学校のスクールバスの警備費として約3億5000万円を計上しているが、柘植氏は緊急の警備強化のため今年度の外務省予算から4300万円を拠出すると説明。「日本人学校と子供の安全確保を最優先にできることは全て行う」と強調した。

 同商会の本間哲朗会長は「日本企業の駐在員とその家族の安全安心は、中国で事業を持続するための基本だ」と述べ、日中両政府に対し在留邦人10万人の安全確保と、背景を含む事件の詳しい情報をすみやかに明らかにすることを改めて要望した。【北京・岡崎英遠】

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