レバノン各地でイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員らが所有するポケットベル(ポケベル)が一斉に爆発した事件で、米紙ニューヨーク・タイムズは18日、複数の情報機関関係者の話として、爆発したポケベルを製造したとされるハンガリーの企業が、イスラエルのフロント企業だったと報じた。
イスラエルは爆発への関与について肯定も否定もしていないが、イスラエルによる攻撃だった可能性がいっそう強まっている。
この企業はブダペストにある「BACコンサルティング」。爆発したポケベルは台湾メーカー「ゴールド・アポロ」社の製品だったが、BAC社がブランドの使用許可を得て製造していたとされる。
報道によると、BAC社は通常の顧客も持っていたが、当初からヒズボラを標的に定めていた。2022年夏からレバノンに向けて少しずつ製品の輸出を始め、今年2月にヒズボラの指導者ナスララ師が、イスラエルのサイバー攻撃に備えて携帯電話の使用を控えるよう決めてからは、輸出量を増加させた。イスラエルは、BAC社のほかにも少なくとも2社のダミー企業を持っていたという。
ハンガリー政府の報道担当者は18日、BAC社について「マネジャー」1人が登録されているだけで、国内に製造拠点はないと説明。爆発したポケベルについても「国内に存在したことはない」と述べていた。
レバノンでは17日にポケベル数千個が一斉に爆発し、約2800人が死傷。18日には無線通信機器メーカー「アイコム」(本社・大阪市)のロゴが入ったトランシーバーも爆発し、少なくとも20人が死亡、450人が負傷した。
爆発したとされるトランシーバーは10年前に製造が終了しているうえ、過去に偽物が多く出回ったことがあり、偽物が使用された可能性も浮上している。【エルサレム金子淳】
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