爆発した無線機の写真を手に、報道陣の質問に応じる無線通信機器メーカー「アイコム」の榎本芳記取締役(中央)=大阪市平野区で2024年9月19日午前11時40分、岩本一希撮影

 レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが所有し、爆発したトランシーバーは無線通信機器メーカー「アイコム」(本社・大阪市)のロゴが付けられていた。アイコムの榎本芳記取締役は19日、記者団の取材に応じ、事実関係を調査中とした上で「偽物の可能性が高いと思う。(本物だとしたら)爆発物にされるとは想定外で、非常に残念」と語った。

 米メディアなどは、爆破されたのは同社製の「IC―V82」と報じている。榎本氏によると、この機種は2004~14年まで約16万台製造され、国外で販売された。ただアジアで偽物が多く製造され各国に出回ったこともあり、13年8月末以降、正規の商品にはホログラムシールを貼って出荷していた。ただ爆破された製品は、榎本氏が写真で見る限りシールがついていないという。

 ヒズボラは大量のトランシーバーを約5カ月前に導入したとされるが、この機種は製造中止から約10年が経過しており、榎本氏は「(ディーラーが)大量の在庫を10年も抱えることはないのでは」と話す。ただ、仮に偽物だとしても、製品の基板の写真や映像がないと判別するのは難しいという。同社の製造過程で爆発物が埋め込まれる可能性については否定した。【小坂春乃】

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