ニューヨークの国連本部=2023年7月3日、八田浩輔撮影

 国連総会(193カ国)は18日に緊急特別会合を開き、イスラエルに対してヨルダン川西岸と東エルサレムで続く入植活動を1年以内に終わらせるよう求める決議案を賛成多数で採択した。投票した国のうち、日本を含む124カ国が賛成し、米国など14カ国が反対、43カ国は棄権した。

 採択を受けてパレスチナは「イスラエルの植民地支配とアパルトヘイト(人種隔離)体制に対する責任を問う重要な一歩」だと歓迎した。イスラエルは「外交的テロを支持する恥ずべき決定だ」と猛反発している。総会決議に法的拘束力はない。

 決議案は、イスラエルによるパレスチナの占領政策は国際法違反だと判断した今年7月の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を踏まえ、オブザーバー国家のパレスチナが提出した。アラブ諸国を中心に20カ国以上が共同提案国に名を連ねた。

 決議はICJの勧告的意見を「歓迎」し、イスラエルに対し、1年以内に占領をめぐる不法状態を解消するよう要求。ガザ地区での戦闘についても、ジェノサイド(集団虐殺)を防ぐあらゆる対策を講じるようイスラエルに命じたICJの暫定措置を順守するよう訴えた。また加盟国には不法な占領状態の維持に関与している個人や法人に、資産凍結などを含む制裁を求めた。グテレス事務総長に対しては、決議の実施状況を3カ月後に総会に報告するよう促した。

 米国は「一方的な」内容だとして採決前に反対を呼びかけたが、反対した国はイスラエルやハンガリーなど14カ国にとどまった。賛成した124カ国には日本のほか中国やフランスなどが含まれる。英国、韓国、インドなど43カ国が棄権した。

 1967年の第3次中東戦争でイスラエルが軍事占領した西岸地区には、70万人以上のユダヤ人入植者が暮らす。

 24日からニューヨークの国連本部で始まる総会一般討論では、パレスチナ自治政府のアッバス議長とイスラエルのネタニヤフ首相が演説する見通し。【ニューヨーク八田浩輔】

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