米ニューヨークの連邦地裁に出廷したコムズ被告(中央)の似顔絵=2024年9月17日、AP
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 米東部ニューヨークの連邦検察当局は17日、「ディディ」「パフ・ダディ」として知られる米人気ラッパーで音楽プロデューサーのショーン・コムズ被告(54)が性的人身売買などの罪で連邦地裁に起訴されたと発表した。起訴状には、音楽界で一時代を築いたコムズ被告の「裏の顔」が生々しく記され、米国に衝撃を与えている。

 「数十年間にわたって、自分の性的願望を満たしながら、自分の行為を隠して名声を守るため、女性や周囲の人々を虐待し、脅迫し、強要を行ってきた」。連邦大陪審による起訴状は冒頭、コムズ被告を強く非難した。被告が作り上げた「犯罪集団」が、性的人身売買、強制労働、誘拐、放火、贈賄、捜査妨害に関与した疑いがあると指摘した。

 起訴状によると、コムズ被告は周囲の女性に男性のセックスワーカー(性風俗産業従事者)と「高度に練り上げられた性的行為のパフォーマンス」をさせていた。麻薬や金銭的支援をエサにしたり、脅迫や暴力を使ったりして、女性たちをその意に反して「性的なパーティー」に参加させていたとされる。また、その際の映像を女性たちの口を封じるためにも使っていた。

 2008年ごろからは側近とともに「犯罪集団」を作り、表舞台での活動でスターとしての評判を守りながら、裏ではコムズ被告の「性的願望」を満たすために組織的に犯罪を行っていた疑いがある。

米東部ニューヨークで、人気ラッパーのショーン・コムズ被告の起訴について説明する連邦検事=2024年9月17日、AP
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 米メディアによると、コムズ被告は16日に当局に拘束された。17日に出廷して無罪を訴え、弁護側は5000万ドル(約71億円)の保釈金を提示して保釈を求めたが、裁判所が退けたため、当面は拘置が続くことになる。

 検察側によると、コムズ被告が起訴された罪状で有罪になれば、最高で終身刑になる。米メディアによると、有罪を認めて司法取引に応じた場合でも、一定期間の収監は避けられないとの見方がある。

 コムズ被告を巡っては、連邦捜査当局が今年3月、西部カリフォルニア州ロサンゼルスと南部フロリダ州マイアミの自宅を捜索していた。5月にはCNNが16年に当時の交際相手の女性に暴行する様子を捉えた防犯カメラの映像を報道。コムズ被告は「私の振る舞いは弁解できないものだ」と謝罪する一方、当時は自身の精神状態に問題があったとして「専門的な助けを求め、セラピーやリハビリにも行った」と釈明していた。【ワシントン秋山信一】

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