ロシアのプーチン大統領は16日、ロシア軍の兵員規模を18万人増の150万人に引き上げる大統領令に署名した。ロシア軍はこれまでも段階的に増員しており、長期化するウクライナでの「特別軍事作戦」や深まる欧米との対立を念頭に、さらなる兵力増強を図りたい構えだ。
ロシア軍の規模拡大を巡っては、2022年12月に当時のショイグ国防相が、約115万人としていた兵員を150万人にまで引き上げる必要性に言及。プーチン氏がそれを追認する形で23年1月に150万人への兵員拡大を決定した。特別軍事作戦の開始以降、定員を増やすのは3回目で、今回で計画が達成されることになる。大統領令は12月1日付で発効する。
ロシア下院のカルタポロフ国防委員長は16日、議会の機関紙のインタビューで兵員規模の引き上げについて、国際情勢などに基づき計画的に実施されていると言及。フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟を例に挙げ「露北西部の安全保障に対応するためには新たな編隊や部隊を組織しなければならない」と述べ、部隊数の増加や軍備の増強について検討する必要性を強調した。
軍の増員については、22年9月に発令された部分的動員令で約30万人を招集したが、国外へ逃れようとする人たちが続出するなど、国内で混乱が広がった。政権はその後、新たな動員はせず、契約兵によって兵力を補強する方針を強調。高額の報酬を提示し、兵員の募集を続けている。【モスクワ山衛守剛】
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