フィリピン政府は15日、自国の排他的経済水域(EEZ)内に位置する南シナ海・南沙諸島サビナ礁に4月から停泊させていた巡視船「BRPテレサ・マグバヌア」の撤退を発表した。現地で中国をけん制する役割を果たしており、船員の治療や船の修理を終えた後に「最高の状態で主権を守るための任務を再開する」という。両国の緊張が緩和するかは未知数だ。
フィリピンは4月、サビナ礁の浅瀬で「中国側による埋め立ての兆候が確認された」として、この巡視船を配備した。その後、サビナ礁周辺では、中国による比側への妨害行為が頻発し、「新たな火種」との見方が強まっていた。
フィリピン国家海事評議会は声明で「(中国に対して)圧倒的に不利な状況下で、番人としての任務を果たした。侵入者の船団による包囲や悪天候に立ち向かった」とたたえた。
巡視船テレサ・マグバヌアは、中国の南シナ海進出を受けて2022年に日本が比側へ供与した。サビナ礁配置後の今年8月末には中国海警局の船に計3回、衝突された。中国側が撤退を求める中、比側はこれまで応じない姿勢を示していた。【バンコク石山絵歩】
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