【ワシントン=大内清】米国務省は22日、世界各国の人権状況に関する2023年版の年次報告書を発表した。イスラム原理主義組織ハマスによる昨年10月のイスラエル攻撃を非難する一方、同国軍によるパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦が「深刻な人道危機」を生み出していると指摘した。
報告書は、イスラエルとハマス双方による戦争犯罪が人権団体などによって指摘されていることを明記。ブリンケン国務長官は22日の記者会見で、米国としても独自に調査を進めていると説明した。
報告書は、イスラエルによるパレスチナ人の恣意(しい)的な拘束や、同国内で収監されているパレスチナ人が拷問や虐待によって死亡したケース、占領地・ヨルダン川西岸でのユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力事件などにも言及。イスラエル政府が、テロ容疑者として拘束した人物らに対する「尋問のルールや手続き、手法を、安全保障上の理由から秘密にする必要があるとして公にすることを拒んでいる」と指摘した。
またイスラエル軍によるガザでの軍事作戦を巡り、同国は「人権侵害を行った疑いがある当局者を特定し罰するための公式にはっきりとした措置を講じていない」と強調した。
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